ここまでのセクションで、ターゲットと競合のリサーチ手法を学び、実践して頂きました。
このセクションがリサーチプロセスを最適化するための最終工程です。あなたの勝てる土俵を見つけ、競合から顧客を奪う戦略について学びます。
このセクションを学ぶ理由
ターゲットの欲求は把握出来ました。売れる商品が何か、分かってきたはずです。
そして競合についても把握出来ました。これで敵の弱み・強みも分かってきたはずです。
残る課題はあなたの立ち位置を特定すること。もっと具体的に言えば、「あなたが勝てる土俵を特定すること」と「攻める順番を特定すること」です。これが出来ればリサーチプロセスの最適化は完了します。あとは維持するだけです。
残念ながら、他の誰にも真似出来ない商品というのは存在しません。真似が難しい商品を作ることは出来ますが、それには多くのコストが掛かります。
もちろん、「他社(他者)の追随を許さない…」というのが理想形ではあります。でも、それは改善を重ねた末に辿り着けるもの。一気に到達できるものではありません。
よってあなたの商品が平均レベル以上の品質なら、商品の改良と並行して、「売り方を変えて差別化を図る」という戦略が重要となります。
売り方を変えることによって今まで以上に顧客を集め、売上を上げ、貴重なフィードバックを得るのです。
「そんなことが本当に出来るのか?」と思ったかもしれませんが、実は出来ます。
それは敵の弱みを突くことで実現が可能です。つまり、競合の得意分野では勝負せず、競合が苦手とする分野で勝負することです。
勝てる土俵と攻める順番を特定する理由は、孫子の教えである「戦うべきと戦うべからざるを知る者は勝つ」を実践し、あなたが「百戦危うからず」という状態を手に入れるためなのです。
彼を知り、己を知って「勝利の戦略」を立案する
それでは早速、勝てる土俵と攻める順番の特定に入っていきましょう。
特定に必要な作業はあなたの商品と顧客の欲求、そして競合分析結果の三つを比較・分析することです。
それで勝てる土俵は自ずと見えてきます。そして勝ち続けるための順番も見えてくるのです。
「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」と孫子は言いましたが、これからやることはまさに「彼を知り、己を知る」という作業そのものです。
作業に必要な素材は、既に揃っています。何故なら顧客の欲求も収集してきましたし、競合分析も終わっているからです。
これらの素材は、あなたや私の「思い込み」ではありません。リアルな市場の声です。だから素材の信ぴょう性に疑問を挟む余地はありません。安心して使うことが出来ます。
全体像が見えてきたところで、勝てる土俵を特定するための具体的なステップについて解説していきます。
勝利の戦略を手に入れる6つのステップ
勝てる土俵を特定するための具体的な方法は6つのステップから構成されています。
これらのステップをクリアすることで、あなたが勝てる土俵と、攻める順番が明確になります。
※この表は、横にスクロール出来ます。
no. | 項目 |
STEP1 | 競合が狙うターゲット層を可視化する |
STEP2 | あなたのターゲット層と競合のターゲット層とを比較する |
STEP3 | あなたの商品と競合の商品とを比較する |
STEP4 | あなたのオファーと競合のオファーとを比較する |
STEP5 | 戦う土俵を特定する |
STEP6 | 戦う順番を特定する |
各ステップについて、以下の通り補足します。
STEP1:競合が狙うターゲット層を可視化する
競合分析によって得られた、各競合ごとのターゲット層を上の図にプロットしていきます。
すると、各事業者が誰を狙っているのかが一目で分かります。
価格重視のターゲット層か、品質重視か…この作業によって、敵が戦いたいと思っている土俵が分かります。
※プロット:観測値などを点でグラフに描き入れること。
STEP2:あなたのターゲット層と競合のターゲット層とを比較する
次に、あなたの顧客がどの位置にいるかを図にプロットします。
すると、どの競合が直接的な脅威になるかが分かります。つまり、先に戦うべき相手が分かるということになります。
STEP3:あなたの商品と競合の商品とを比較する
あなたの商品は既存のままで売れ続けるのか、改良が必要なのか、新規開発が必要なのか…この答えは「超VIP(VIP)」顧客のヒアリングによって特定出来ましたよね?今後売っていく予定の商品と、競合の商品とを比較していきましょう。ここでも下の図を使って一覧化しておきましょう。
商品に優位性がある方が価格以外の面も訴求出来るので、必然的にオファーは強くなります。対して、商品に優位性がない場合は価格しか訴求ポイントはありません。価格一本での勝負はあまりにも分が悪い。ほぼ負け戦になってしまいます。
ですので、彼我の商品を冷静に比較して今戦うべき競合とそうでない競合を選別していきます。
今の商品でも十分戦える競合はどこか?商品の改良あるいは新規開発を行えば戦える競合はどこか?…冷静かつ客観的に分析を行っていきましょう。
STEP4:あなたのオファーと競合のオファーとを比較する
STEP2で直接的な脅威(競合)が特定出来ました。そしてSTEP3で商品の優劣についても特定出来ました。
よってこのステップでは、敵味方のオファーについて冷静に比較分析を行います。
あなたのオファーは「超VIP(VIP)」顧客のヒアリングをもとに作成したものを使って下さい。
商品比較と同様で、あなたのオファーが強ければ敵の顧客を奪える可能性が高まり、弱ければ競合に顧客を奪われる可能性が高くなります。対策は後工程で立てるので、この段階では冷静な比較分析に努めましょう。
STEP5:戦う土俵を特定する
今まで行った作業の裏付けを取り、直接的な脅威となる競合の弱み・強みを特定していきます。
裏付けに使う素材は下記の通りです。
・STEP1~STEP4までの作業結果
・「超VIP(VIP)」顧客のヒアリング結果
・競合の顧客が競合に下している評価
まず、STEP1~STEP4までの作業結果を一覧にまとめておきましょう。例えば、こんな感じです。
【凡例】
1.顧客欲求は、星の数が多いほど要求レベルが強いことを示しています。
例えば、品質が★5なら、品質を最優先。価格が★5なら、価格を最優先していることを指します。
2.その他の項目は、星の数が多いほど高いことを示しています。
例えば、品質が★5なら最高レベル。★1なら最低レベルを示しています。
※この表は、横にスクロール出来ます。
競合/項目 | 商品に対する顧客欲求 | 商品の品質 | 価格 | 顧客の評価 | 優位性 |
あなた | 品質:★★★★ 価格:★★ |
★★★★ | ★★★★ | ||
競合A | 品質:★★ 価格:★★★★★ |
★ | ★ | ||
競合B | 品質:★★★ 価格:★★★ |
★★ | ★★ | ||
競合C | 品質:★★★★★ 価格:★★ |
★★★★★ | ★★★★★ |
次に、裏付けのポイントとなる点は下記3点です。
・商品のどんな点が評価されているか
・販売者にどんなサポートを望んでいるか
・サポート体制をどう評価しているか
こうした点を敵味方各々の顧客評価から読み取り、攻め口を特定していきます。
最終的に「あなたが持っていて、敵が持っていないもの」が戦う土俵になります。商品を訴求する際の「中核」部分です。
STEP6:戦う順番を特定する
最後のステップは、戦う順番の特定です。
勝負は早く決着させるべきです。その理由は、勝負が長引くほど勝者もダメージを負うから。
最悪の場合、他の競合に「漁夫の利」を持っていかれる結果になりかねません。
勝ち続けるための基本戦略は、「弱い所から叩く」「1つずつ叩く」「短期決戦を旨とする」の3点です。
よってまず初めに商品の品質が低い競合や、品質が同等でもオファーが弱い競合から顧客を奪うオファーを出していきます。下表を参考に、戦う順番を決めていきましょう。
※この表は、横にスクロール出来ます。
no. | 競合の商品とオファー | 優先度 | 具体的戦術 |
1 | そもそも商品の質が低い競合 | 今すぐ勝負する対象 | 品質の違いを訴求して勝負 |
2 | 商品の質が同等で、オファーが弱い競合 | 今すぐ勝負する対象 | オファーを強力にして勝負 |
3 | 商品の質が同等で、オファーが強い競合 | 時期尚早。対抗策を検討する必要がある | 商品を変える、売り方を変える(特典を強力にする、等) |
4 | 商品の質が高い競合 | 時期尚早。対抗策を検討する必要がある | 商品を変える |
戦う順番を特定し、1つずつ勝ちを重ねることで顧客を増やし、フィードバックを増やします。
良質なフィードバックをもたらす顧客を増やし続けることが、今は手が出せない競合と戦うための強力な武器になります。
着実に地力をつけ、成長路線に乗り続けていきましょう。
課題
◎上で説明した内容に沿って、勝てる土俵と戦う順番を特定して下さい。